今年のはじめ、ある論文に取り組んでいたときによく参照していた文献があります。それがRobert Bruceによるアレクサンダー・グラハム・ベルの伝記”Bell”(1973、Reprinted 1990)です。古い本ですが、グラハム・ベルの全貌を捉えた伝記としては今なお有効な本です。わたしの手元にあるのは1990年の再販(左の画像)。これは唐津一によって全訳されていて、『孤独の克服』(1991、NTT出版)として刊行されています(右の画像)。

 

当初は翻訳を読んでいたのですが。最後にこの書籍で使われている資料は以下の通りである、として一覧が記載されていることに気づきました。しかし、著述には注釈が一切なく、何の史料に典拠しているかわかりません。そこで原書を購入してみると、注釈がびっしり。翻訳では注釈を一切省略しているんですね。翻訳で注釈を省いてしまうのはしばしば散見されることで背景には出版社の都合もあるらしいのですが、研究をするうえでは史料の検証が不可欠なのと、訳文の確認もするので、注釈はあって欲しいですね。
原書は今はとても安く購入できるのでもっていて損はありません。何しろ、日本の盲唖教育に少なくない影響を与えた人物の伝記ですから。

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