本日、日本手話研究所の「手話総合資料室」が公開されました。
これは、聾者、聾教育、手話に関する資料を公開するという目的で設立されたものです。日本手話研究所には図書室のような部屋があり、資料が保存されてきたという話がありましたので、この度、公開されたことは喜ばしいことです。

「図書・雑誌」のタブをクリックすると、デジタル化された一部の史料が公開されています。『日本盲唖教育史』『聾唖年鑑』『盲聾教育八十年史』『本邦聾唖教育六十年の回顧』など重要な史料が含まれています。復刊されたり、国会図書館デジタルライブラリーにて公開されているものもありますが、カラーで見られることとアクセス先が複数あることは良いことではないでしょうか。

個人的には『唖生發声 並 假名遣教案』といった墨字の史料にひかれます。筆跡からみると、京都盲唖院の院長であった鳥居嘉三郎の手になるものと考えて差し支えないものです。他に単語・文章例に関するテキストが数多く公開されています。このことから「近代の盲唖学校における聾者への国語教育について」というテーマで研究分析が可能になるでしょう。聾教育史での展開が望まれます。

また、『盲唖尋常科 改正課程按 仮 課業表』には使われている罫紙の柱に「京都府立盲啞院」とあることから、府立であった明治10年代から明治20年代初頭のものである可能性が高いでしょう。このように、京都盲唖院の史料の一部が手話総合資料室に収蔵されていることが明らかです。

『唖生同窓會報告 第5回』も注目すべき資料でしょう。国会図書館の所蔵分では5号と10号が欠けており、その一部を埋めるものであるといえるでしょう。他に京都盲唖院の聾の同窓会が刊行していた『無聴之友』3−5号も公開されており、聾者の動向がうかがえる数少ない文献です。

今後公開予定のものとしては、『聾唖界』や『口話式聾教育』などが挙げられます。

また、映像も興味深いですね。1960-70年代が中心です。藤本敏文ら戦前を生きた聾者たちが手話で語るシーンがあり、手話の歴史においても参照すべきものになるでしょう。西田一先生が手話通訳をされている映像もあります。

ところで、わたしは一度だけ、西田先生をお見かけしたことがあります。すでに認知症があり、施設に入っていました。会話をすることは難しい状況でした。西田先生が振り返ってわたしを見たあと、くるっと歩き去ったのを覚えています。そのあと間も無くしてお亡くなりになりました。

手話総合資料室の今後の発展が楽しみです。

 

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