2020年2月9日。京都国立近代美術館にて、アーティスト/映像作家である百瀬文《聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと》の上映とシンポジウムをおこないます。まず、上映を行い、百瀬がその制作の背景について語ります。次に、3名の登壇者がそれぞれ作品について発言し、全員で討議を行います。

《聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと》は2013年1月に公開された作品であり、耳の聞こえないろう者の男性が百瀬と会話をする約25分の映像です。その内容について、今日にいたるまで「声」「身体」をめぐる議論の対象になってきました。京都では初めての上映となります。
この作品について発言を行うのは百瀬のほか、西洋美術史・美学・思想史を専門に、最近はイタリア現代思想や映画論を上梓している岡田温司。「声」を主題に批評活動を手がけてきた黒嵜想。京都盲唖院を基盤に盲人や聾唖者の歴史について研究してきた木下知威の3名です。

「萌えいずる声」には、手話通訳と文字通訳がございます。これらの情報保障を必要とされる方はこのポストの一番下にあります「情報保障」をご参照いただき、お申し込みください。

東から、西から、ぜひお越しください。

お待ちしております!


 

チラシのダウンロードはこちらから(PDFファイル、3.1MB)

 

概要

わたしたちの生活は声とともにあります。会話をはじめ、映画・アニメーションや歌謡のように、声は人間の表現・意思と深い関係を築いてきました。
その一方で、わたしたちはスマートフォンを手に入れ、インターネットや映像・音響技術の発達によって、ほかの声がかき消えるほどの大声が響き渡る場、強制的に声を発せられている場も身近に感じられるようになりました。そこには、声をめぐる静かな絶望も横わたっています。
このように、声はますます複層的な姿を現しています。そこで、声とその身体・意思・空間のありようを新たな角度で検証することを目的に、上映とシンポジウムを開催します。まず、ろう者(手話を主なコミュニケーション方法とする人たち)と聴者が声によって語り合う映像である、百瀬文《聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと》を上映します。つぎに、作家と3名のコメンテーターによる指定発言と討議を行います。

「萌えいずる声」は、京都大学 大学院 人間・環境学研究科 岡田温司研究室の主催、京都国立近代美術館の感覚をひらく―新たな美術鑑賞プログラムの共催のもとで行われます。


基本情報

「萌えいずる声」
日時:2020年2月9日 13:00〜17:00(12:30より開場)。
場所:京都国立近代美術館 講堂(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1(Google Map)
主催:京都大学 大学院 人間・環境学研究科 岡田温司研究室
共催:感覚をひらく―新たな美術鑑賞プログラム創造推進事業実行委員会、京都国立近代美術館

登壇者(登壇順)

百瀬文
黒嵜想
木下知威
岡田温司

司会:本橋仁(京都国立近代美術館)

入場方法

入場無料、定員100名
当日の12:00より整理券配布を行い、12:30より開場します。

情報保障

「萌えいずる声」には、手話通訳と文字通訳(UDトークによる音声認識+入力)がございます。人数を確認するため、必要な方は2月3日(月)までに以下の問い合わせ先にご連絡下さい。

京都国立近代美術館教育普及室
FAX: 075-752-0509
TEL: 075-761-4111(平日10:00‒17:00)
E-mail: learning@ma7.momak.go.jp