久しぶりの投稿になってしまいました。
スマートフォンが携帯の主流になっている現在、どんな風にメッセージを作っているのかというとフリック入力、ガラケーと同じ入力、少数派としてポケベル式の入力があると思います。

とくにiPhoneだとフリック入力が多いと思いますが、「あ」に指を重ねると上下左右に「い」「う」「え」「お」が表示され、入れたい方向に指を動かすとその音が入力されるという仕組みです。

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「iPhoneで文字入力をしてみよう。フリック入力、ローマ字入力、絵文字。」より

このようなやり方は明治の手話にも見ることができました。京都盲唖院の教員・渡辺平之甫(へいのすけ)という人物がまとめた本、『盲唖教育』(松田尚友堂、明治39年)のなかにあります。
渡辺は「片手マニュアル」といっているのですが、片手で手の形を作って上下左右と体の前に突き出すことで5つの動きをつくり、手の形で子音を決めるというやり方です。たとえば「カ」を表現するときは親指と人差し指で輪を作って上に向けるというわけです。iPhoneでは、「か」のところで指をあてて5つの方向をコントロールすることで入力をしています。
日本語の構造にあわせて空間を「5つに区分する」ことで片手で入力を行うことができるという点においてiPhoneと片手マニュアルは同じコンセプトになっています。

だから、iPhoneが登場して、フリック入力をみたときに「あれ、これは渡辺平之甫の片手マニュアルじゃないか」と思ったのでした。明治のすでに廃れてしまった手話の一方法がiPhoneの文字入力法という身振りとして甦るのを見るとは思わなかったのでした。

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