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岩佐又兵衛『浄瑠璃物語 第11巻』(部分) 1640ころ

 

Works

医学的行為による、身体障害者の抽出と建築意匠との関係に関心があります。

<正式な業績一覧はこちら

 

<建築>

・卒業設計:色彩の博物館+保育園+パン屋
ある小規模デパート(約1500平方メートル)の跡地に、クリスタルガラスというチェコ産の色ガラスを使い、太陽光の角度にあわせて入射させることで色を単色で、あるいは混ぜて展示するという複合施設をやりました。卒業設計講評会にて次点。

・色彩による景観の知覚特性に関する研究(卒業論文)(日本建築学会大会学術講演梗概集 掲載 査読なし)
当時興味を持っていた、視覚と色彩の問題を考えました。カラーとモノクロの同一写真を用意したある都市において、在住者と非在住者のあいだで、<色の感 覚>が削ぎ落とされると、どのようにみえるかということを分析しました。在住者と非在住者で、年が幼いほどカラーとモノクロの評価が大きく変わっているこ とから、色覚の<経験>によって、見たことのない風景には無意識に<ぬりえ>しているのではないかと思われます。

・密室の系譜 密室殺人事件研究
五十嵐太郎先生(東北大学准教授)が担当されたリサーチブック「関ゅ根(secune)」で「密室の系譜 密室殺人事件研究」について執筆しました。レ・ ファニュとエドガー・アラン・ポオを嚆矢として、ガストン・ルルー、江戸川乱歩、山村美紗にいたる密室殺人の系譜を俯瞰しつつ、ロラン・バルト、オルテ ガ、ヴァルター・ベンヤミンの言説をはさむ内容です。個人的には森博嗣さんにもふれておくべきだったと思います。本は南洋堂や京都のスフェラ・アーカイ ブ、GAのブックショップにて取り扱っていましたが、現在絶版。

・孤島における高齢者ケアの実態
依頼をいただいて調査したものです。高齢者の割合が6割以上という日本の本土を先にいくような孤島という土地条件に着目し、どのような高齢者ケアが行われ ているかを調査しました。特別養護老人ホームではすでに定員いっぱいになっている状況。「島」で生まれ育った高齢者が少なくなく、島外の施設に入居したく ないという高齢者は住宅にて待機している厳しい状況。たとえば、隣の人が声をかけるなど寄り合いのコミュニティがあるのかなと思いきや、そうでもなかった のが印象的。外部のディサービスなどにおいても人手が足りないというのが一番大きな問題ですが、介護ロボット導入の理由になるでしょう。しかしロボットは まだ未熟な面も多く、当面はパワードスーツになるかもしれません。まだまだ多くの課題を孕んでいます。

・育児移行期の共働き家族における住まい方変遷(修士論文)(日本建築学会大会学術講演梗概集 掲載 査読なし)
共働き家族に子供ができたときに、住宅に対する要求が具体的にどのように変化するのかを分析した内容です。すでに子供がいる共働き夫婦を軸に、都市、農村 部でアンケートとヒアリング調査を行い、保育園などサポート施設を通勤距離、所要時間以上に優先しつつもそれがストレスになっているということ、キッチン における不満度が高くなっていることを明らかにしました。どんな住宅であれ、使っていくと機能面で軋みがでてくるのです。篠原一男先生が「小さな住宅は建 てられてから数年もたたぬ間に、その機能に障害が多く、やがて使用に耐えなくなるときがくる。 (中略) 現実の現象に密着させて、機能の耐用性を前面に 出して設計する方法を私は信用しない。」(『新建築』1967年7月 住宅論)のことばは強烈なボディブローとしてじわじわ効いてきます。

・石川県での農業レストラン設計
石川県北部でとれた農作物をフレンチで調理するというレストラン設計の依頼がありました。寒冷地に250平方メートルに予算7000万円という条件で取り 組み、突板サンドイッチガラスによるパサージュの切り取りを試みた基本設計を行いましたが、財政的事情で停止しています。

・アメリカ、フランス、日本における美術館におけるギャラリートークなどでの手話通訳士配置計画(研究助成)
はじめての海外研究です。ルーヴル美術館、オルセー美術館、Monum、MoMA、メトロポリタン美術館、森美術館、東京国立博物館など巨大な美術館での 手話通訳付きのイベント選定と配置方法について現地調査を行いました。Monumでは複数の遺産(城館など)で手話通訳士をシェアしている仕組みになって いたり、メトロポリタンでは手話通訳士を「職員」として採用している面ではユニークでとても面白かったのだけど、時間があまりなかったこともあり文章とし ては明らかに不完全燃焼。いつか再トライしたいと考えています。

・聾者の高齢者に対するサポートの仕組み(研究助成)(日本建築学会大会学術講演梗概集 掲載 査読なし)
ある県において、手話を使ってコミュニケーションしている重度の聴覚障害者を対象に、現状把握と今後希望する高齢者ケアについて調査しました。障害年金に 便りながら生活しているものが多く、彼らの要求としては、同じ<身体性>を持つ人との交流を希望し、大人数か少人数でのケアを求めていることを明らかにし ました。その反面、婚姻していながらも聴こえない子供が生まれるから、という差別的な理由で子供を作らないという条件で婚姻した者が非常に多く、子供が <存在しない>ということが血縁のある次の世代からケアをしてもらうことができないという事実に直結し、施設や外部への強い依存力を引き起こしていること が見えたように思います。

・大乗寺客殿の変遷過程に関する研究
兵庫県の日本海側にある大乗寺(http://www.daijyoji.or.jp/main/)をめぐって、障壁画制作の理由、政治体制との関連、明治後期の展覧会場化にいたるまでの系譜を調査分析した。このサイトのArchivesより大乗寺客殿の建築がどのように変容したかを論じた論文をダウンロードできます。

・京都盲唖院における空間構成と教育プログラムに関する研究 - 明治期の京都盲唖院における建築設計図面、エスキス、関連資料から
日本における盲学校、聾学校の源流である京都盲唖院という、盲唖学校の形成過程について当時の文書、図面、計画図、写真、新聞記事、日誌などから論じたものです。このサイトのArchivesよりダウンロードできます。

・盲・聾の空間 − 京都盲唖院の形成過程(博士論文)
明治11年に創立された日本最初の盲学校・聾学校である京都盲唖院を対象に、その建築が成立し、変容していく過程を一次資料から論じたものである。この建 築は、公家住宅を学校として転用しているが、住宅の機能である玄関や土間を去勢し、板間としている。これを秩序づけるために、動線や空間の連結を重視しつ つ、コラージュとして組み合わせており、キメラのような建築として存在したといえる(博士論文の一部はArchivesよりダウンロードできます)。

・五十嵐太郎編『建築・都市ブックガイド 21世紀』彰国社、2010年3月 (http://www.amazon.co.jp/dp/4395241093
「集合住宅をユニットから考える 渡辺真理+木下庸子」「推理小説から飛び出す建築」を執筆しました。


Hans Memling "Angel Musicians" (detail) 1480s

<美術・知覚>

・「ホログラフィー・アーキテクチャー」(2008年11月〜 連載中)
NPOにっぽんmuseumでのメールマガジン『アートシンク通信』(http://www.mag2.com/m/0000174341.html)において、テレビ・ゲームと建築を横断した連載をしています。連載に関する参考資料はhttp://d.hatena.ne.jp/M_perrier/を参照してください。

・『イメージ送信をめぐる権力』(2008年7月4日、11月24日口頭発表)
現在、日本では<ファクス>という名前で使われていますが、1843年にイギリスの時計技師であったアレキサンダー・ベインが「振子式水平走査画像電送装 置」として発明したものが現代のファクシミリになっています。これを用いた画像送信はジョヴァンニ・カセリが商用としてパリーリヨン間で最初にスタートし ました。1930年に日本の逓信省が東京−大阪間で公衆写真電報業務をはじめましたが、実質上の利用は新聞社、気象庁、警察、鉄道に限られていました。と いうふうに、ファクシミリがどのようにして権力者、軍事、メディア、そして現在の<大衆>の手に渡されたのかを記述することをねらいにする文章です。キー ワードは、時間/距離/電気/法律。

・『もうひとつのモリヌー問題』(進行中)
ジョナサン・クレーリーもとりあげている、モリヌー問題は『盲人書簡』(1749)(ヂィドロ 岩波文庫 吉村道夫、加藤美雄訳 絶版 )にある視覚と触覚の問題ですが、ディドロはその聾ヴァージョンともいえる『聾人書簡』(1751)も執筆しています。これは演劇の問題として取り上げら れるものだろうし、これに関する論文を書いているものも確認しましたが、「きこえない」当事者としてこれをどう取り上げるか、どう読むかというイベントで す。『盲人書簡』によるモリヌー問題についても、2020年に実現すると報告された人工網膜技術によっての実験可能性についても医学的に考察しておくものです。

・『感覚、知覚の分断/遮断/欠落について』
これは榑沼範久さん(横 浜国立大学准教授)と会話していたときのインスピレーションが多々あります。ぼくは、障害者を単に「障害者」と言うのは乱暴だなと感じているし、新聞など の「障害があっても頑張れる」「障害を乗り越える」という書き方にはうんざりしている部分があります。社会的に障害者と規定したまま記述をこころみるので はなく、「感覚が削ぎ落とされた人たち」と再概念/布置するとどういう視点が展開されるかを考えなければならないのではないか。
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは手話を「万物を言い表せる言語」として考えていた。ヴァルター・ベンヤミンの『言語と社会』には聴覚障害についての 重要な示唆がある。ポール・ヴィリリオは「技術の発達により、人間は身体障害者のようになった」というが、すでに松岡正剛が『フラジャイル』で示していな かったか。またエドワード・リードは「声ー手ー身ぶり」が一体となった遊びは研究されておらず」(『アフォーダンスの心理学』p264)と<注意>してい た(これは、カイヨワでさえも?)。また、牛腸茂雄が引用するようにレイン『経験の政治学』をとりあげるべきです。そして、ジョルジュ・アガンベンにおけ る言語の問題。ジョナサン・クレーリーは「私は、知覚という語を視覚、聴覚、触覚、あるいはいくつかの感覚の混合を指すものとして使っている。近代性の問 題圏における聴覚的なものの重要性に関する最近の研究については以下を参照」(『知覚の宙吊り』p359-360)など。また、ル・ブラン、ルーベンスの ペンティングから体内に響くような音の体験をするが、その理由は<身体が緩やかに浮遊するような>感覚なのではないか、それは勝川春章などの肉筆浮世絵の ような。また、アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」で描かれたポリオの女性はリアリズムではない、なにかポリオそのものの表象がある。今後 は、山梨俊夫やポール・クローデルの著書を詳しく吟味していかなければならないだろう。

・『手話の美学』について
上記に関連することではあるが、身ぶり言語から手話に至るまでの系譜を整理。音声言語になるまでの言語の問題を、解剖学、グーランの仕事から気づけるだろ うか。また、南フランス、ニース近くにあるル・トロネ修道院に代表されるようなシトー派修道院生活における身ぶり言葉から、ジョン・バルワーの『キロロジ ア』を経て18世紀における手話について。つまり、身体から言語が発生するメカニズムとして、言葉と手の布置について。William C. Stokoe, Jr. "Sign Language Structure: An Outline of the Visual Communication Systems of the American Deaf "をよく読んでおくことが重要だろう。また、シトー派については、ミシェル・フーコーのいう『施療院』としての修道院の役割、野呂一の研究『トラピスト修道院の手話』を参照。そして、多木浩二の文章にもあるように、パリの聾劇団『IVT』について。シェークスピア・カンパニーによる手話演劇も。

「光の触感/日和崎尊夫展」
版画家、日和崎尊夫さんの展覧会コメント。加藤周一さんがいう「批評」とは全くいえないと思うのだけど、newsに書いていたのをどこからか読んでくださったオーナーが「ぜひ掲載したい」と連絡をいただきました。


Ingmar Bergman "The Seven Seal" (detail) 1957

<その他、活動>

Pulsarの全時計データシート作成 型番順名前順ディテール別
何年か忘れたほどだいぶ前のことですが、僕が好きなPulsarの時計リストを作成。でも実はPulsarは品番が同じでも素材感が微妙に異なるので、こ れがすべてとはいえません。たとえばP-3にはいろんな仕上げのタイプがあることに注意しましょう。じつに良い時計です。生産していたTime computer社はわりと短命だったため、あまり数は多いとはいえない。

・日本建築学会全国大会における情報保障について
日本建築学会は、2004年度全国大会でバリアフリー係を設けており、手話通訳派遣を呈示しましたが、「本人の発表、ならびにそのセッション(研究発表 会)に対し、手話通訳をする」という条件でした。つまり、それ以外のセッションは手話通訳をしないということであり、全国大会でのいろんな方の研究発表が 聞けない問題について学会側と議論を行いました。その結果、2005年からすべてのセッションに手話通訳や要約筆記をつけていただけることになりました。 日本建築学会の決断に感謝します。
しかし、重要なのは、まだまだ学術的な面での聾者の環境は充実しているとはいえないことであり、それが聾者が研究者になることへの大きな障壁になると考え ています。日本にある「学会」の全国大会で手話通訳派遣を行っているのは、日本環境教育学会と日本建築学会、日本手話学会、日本特殊教育学会、日本聴覚障 害教育実践学会、日本聾史学会、ろう教育科学会、障害学会、国際開発学会に限られるのではないでしょうか。ほとんどが聾者の会員が多いと思われる学会で す。

・聴覚障害者の仏検問題を考える会
2004年まで、仏検の応募要項には「受験資格に制限はない」、特別措置に対する項目が明記されているにもかかわらず、机を前にするだけといった 簡潔なサポート内容のみにとどまっており、事実上受験で資格を得ることが不可能になっていることへの要望などやりとりを行いました。詳しくはサイトをごら んください。

フランスの聾者/聴覚障害者関係の日本語資料公開
パリは世界で最初に「手話」の概念を作り上げた国ですが、必ずしも、聾者がパリで旅行するときに関する資料は必ずしも充実している訳ではありません。そこで、自分がパリを訪れた際に訪問した施設の紹介をしています。

<講演・講義>

・母校(小・中学校)、出身地にて講演 計3件
・手話サークル、中途難聴者協会にて講演 計3件
・横浜国立大学、東洋英和女学院大学にて計2件

いずれも「聴覚障害者としての自分」に関する講演を行いました。母校では、聴覚障害をもった子供とその親にアドバイスをする形でやりました。オー ディエンスからは勉強に関する質問が非常に多いのですが、これに関しては特効薬というのはないです。やっぱり一日一日を大切に、とくに言葉を大切に自分の 興味とどのように繋げるかということにつきるように感じます。大学では、教育、聾者からみた<表象>について話しました。 僕しか話せない内容、テーマを持ち出せるかどうかということと、いかにして伝えるかということをいつも痛感します。