岡山にて

 

日本における盲唖教育とも縁の深いアレクサンダー・グラハム・ベルについての研究文献をまとめました。グラハム・ベルは電話の歴史における重要人物であることから、伝記の類は数多いのですが、ここではできるだけ学術的なものに絞っています。グラハム・ベルの業績は電気工学を中心に多岐にわたっているため、はじめて学ぶ方は訳書も刊行されている『孤独の克服』で学習することを推奨します。

 

Catherine Mackenzie “Alexander Graham Bell: The Man Who Contracted Space” (Boston: Grosset and Dunlap, 1928)
こちらよりオンラインで読むことが可能。キャサリン・マッケンジーは晩年期のベルの秘書であり、身近にいた人物の視点で書かれたもの。

 

Thomas Costain “Chord of Steel” (New York: Doubleday, i960)
著者のトーマス・コンスタンがカナダのブラントフォードの住人たちにベルの思い出をインタビューしたもの。この地はベルと父のメルヴィル・ベルが住んでいた家があり、現在は観光地となっている。

 

ベル夫人であったメイベル・ハバードとベルのロマンスを中心にまとめたもの。著者はベルの娘とコンタクトを取っている。中鶴秀夫・訳『心に楽しい音を―グラハム・ベル夫妻伝』として刊行されている。

 

Robert V. Bruce “Bell: Alexander Graham Bell and the Conquest of Solitude” (Boston: Little, Brown, 1973)
現在におけるベルの伝記で最も網羅的なものといってよいもの。『孤独の克服』(1991、NTT出版)として翻訳もされているが、注釈が省かれている。詳しくはこちら。

 

Dorothy Harley Eber “Genius at Work: Images of Alexander Graham Bell” (Toronto: McClelland and Stewart, 1982)
名声を確立したベルの生活を中心に写真を中心に編集されたもの。

 

Lilias M. Toward “Mabel Bell: Alexander’s Silent Partner” (Toronto: Methuen, 1984; published in large print, Wreck Coves, N.S.: Breton Books, 1996)
 ベル夫人であったメイベル・ハバードについてまとめられた伝記。

 

Edwin S. Grosvenor, Morgan Wesson “Alexander Graham Bell: The Life and Times of the Man Who Invented the Telephone” (New York: Abrams, 1997)
 ベルと電話の関係に着目してまとめられた伝記。著者のグロヴナーはベルのひ孫にあたる人物で、未発表の写真が使われている。

 

James Mackay  “Sounds Out of Silence: A Life of Alexander Graham Bell” (Edinburgh: Mainstream Publishing, 1997)
スコットランドで出版されたベルの伝記。スコットランドでベルの幼年時代について書かれているところが特色。

 

現段階において最新のベルの伝記。メイベル・ハバードと家族にもページを割いており、全体としてバランスの良い記述である。リプリントも出版された。

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